ふくらはぎの痛み
日常で感じるふくらはぎの痛みは、なんらかの疾患やケガが原因の場合があります。日常生活で痛みを感じる場面として、
- よく歩いたり、ジョギングした後にふくらはぎが痛くなる
- 長時間座り続けていたら突っ張る感じがしてきた
- スポーツをしている最中に突然ふくらはぎに激痛が走った
などが挙げられます。ふくらはぎの痛みの原因は、筋肉に原因があるものと、足の血管に原因があるものに分けられます。ふくらはぎの痛みの原因となる疾患には以下のようなものがあります。
病気やケガによるふくらはぎの痛み
肉離れ
無理な運動をした時など、スポーツがきっかけで引き起こることが多いケガです。筋肉を酷使するなど、筋肉を無理に強い力で断裂してしまうことで起こります。とくに、ふくらはぎは肉離れが起こりやすく、痛みの症状が現れます。痛みが酷くて体重を掛けられなくなったり、歩くことが困難になったりします。
アキレス腱断裂
かかとの少し上のアキレス腱が断裂するケガです。ダッシュや踏み込み・ジャンプなどで一気にふくらはぎの筋肉が収縮することで引き起こります。また、段差を踏み外すなどで急激に筋肉が伸びてしまうことも原因となります。その瞬間は、棒で思いきり叩かれるような衝撃と激痛があるのが特徴です。患部を触ると痛み、しばらく痛みが酷くて歩けませんが、次第に足のほかの筋肉を使うことで歩けるようになります。また、足首の関節は正常でもつま先立ちができないという症状が現れます。
こむら返り
ふくらはぎの筋肉が突っ張って、足がつった状態をこむら返りと言います。こむらとは、ふくらはぎのことで、ふくらはぎの筋肉が収縮したまま、痙攣した状態が継続した状態です。この瞬間から、立っていられなくなったり、うずくまったりします。
※昼間に多いスポーツによるこむら返りは、準備運動不足や脱水傾向の場合に起こりやすいとされています。夜間に多いこむら返りは、脱水をはじめとする糖尿病・肝硬変・甲状腺機能低下症などの疾患と、腰部脊柱管狭窄症などの腰椎性疾患などが関わっているとされます。
ふくらはぎの痛みを伴う病気
ふくらはぎが痛いときは、早期治療を要する疾患が隠れている場合があります。主に足の血管に原因がある疾患が挙げられます。
深部静脈血栓症
皮膚下の目に見える表在性の静脈ではなく、下腿深部の血管に起こりやすい疾患です。静脈内に血栓ができる状態を深部静脈血栓症と言います。長時間乗り物に乗り続けて引き起こるエコノミークラス症候群もこれに含まれます。血栓(血のかたまり)が出来た側の足がむくんだり、痛んだりします。長時間乗り物に乗った後に、立ち上がった際の突然の苦しさや胸痛などが見られたら注意が必要です。また、剥がれた血栓が血流に乗って流れ、肺の大きな血管に詰まると肺血栓となり、突然死を招く恐れがあります。この場合、一刻を争うことになるので、直ちに救急病院を受診して救急措置を受けてください。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化が進行することで、血管が狭くなる・詰まるなどのように血流が低下します。それによって、酸素や栄養を送るための血液が手足になかなか行き渡らない状態が閉塞性動脈硬化症です。主な症状は、手足のしびれ感・冷感に加えて、安静時でも痛みが続くなどの症状が見られます。足の血管に起こりやすい疾患で、さらに進行すると皮膚に潰瘍ができる皮膚障害が現れます。
受診の目安とポイント
ふくらはぎの痛みが長期にわたって続いたり、歩くことが困難な場合は整形外科を受診しましょう。スポーツがきっかけとなって激痛が生じた場合は、早めに受診してください。
痛みの強さや発症のきっかけ・症状経過・持病・現在服用している薬などできるだけ詳しく医師に伝えてください。痛みの原因によって科目が異なりますが、まずは整形外科の受診で大丈夫です。
日常生活上の原因と対処方法
ふくらはぎが痛いときは、以下の点に気を付けて過ごしましょう。
足の使いすぎ(長時間の立ち仕事やスポーツのし過ぎ)
運動のし過ぎ、とくに寒い日に準備体操をせずに運動をするなど、足の負担をかけ続けることでふくらはぎに痛みが現れます。筋肉疲労が溜まっているのに運動をし続けると、肉離れやこむら返りを引き起こします。このように、足を使いすぎたときには、痛みが引いてくるまで休養することが大事です。運動しているときに、ふくらはぎの痛みや些細な違和感があった場合は、速やかに運動を中止して様子を見ましょう。休止しても痛みがだんだん強くなったり、痛みが治まらなかったりする場合は、医療機関を受診しましょう。痛みが治まっても運動を再開するとまた痛む場合も、受診してください。運動する前は準備運動をしっかり行うことを心がけます。
むくみ
長時間の立ち仕事など同じ姿勢でいることや、加齢による筋力低下は、むくみの原因となります。むくみはそのまま放置しておくと、足の痛みや重だるさにつながります。長時間の仕事などでむくみを感じたときは、休憩を適度にとりストレッチなどで身体をほぐしましょう。帰宅後は、自分で足をマッサージする・ゆっくりと入浴するなどがおすすめです。足の筋肉を動かしたり、筋力を上げることでむくみ予防になります。
良くならないときには
セルフケアを行ってもむくみが改善しない場合は、重篤な疾患が隠れている場合があるため、一度当院にご相談ください。