間欠性跛行とは
気が付いたら、少し歩いただけで足が痛くなって立ち止まってしまうようになり、少し休むとまた歩けるようになるという症状があります。これは、間欠性跛行という症状です。最初はそれほど強い痛みではなく、しびれ程度のこともあります。また少し休むだけでまた歩けますので、一時的なものだと勘違いしてしまうこともよくあります。
間欠性跛行の原因疾患とは
間欠性跛行は、閉塞性動脈硬化症という足の動脈硬化によって起こっている可能性があります。閉塞性動脈硬化症は、放置していると足の潰瘍や壊死などを起こすこともある病気です。
閉塞性動脈硬化症の場合、間欠性跛行は放置していると、次第に長い距離を歩けなくなり、しばしば立ち止まって休まないと歩けなくなります。さらに進行すると歩いていない時にも痛みを生じます。足のケガなどが治りにくくなって、そのうち潰瘍ができるようになり、最悪の場合には足に壊死が起きて足を切断する必要が生じる可能性もゼロではありません。
初期症状の冷え・しびれに注意を
閉塞性動脈硬化症で間欠性跛行が起こる前にも、早期の症状として足の冷えを起こすことがあります。動脈硬化による血管の閉塞や狭窄で血行が悪化して、足先に届く血液量が低下して冷えを起こします。そのため、閉塞性動脈硬化症は男性が足先の冷えを感じて受診して発見されることもあります。
特に、最近急に足先が冷えるようになったという症状がある場合は早めに受診してください。
また、足のしびれも閉塞性動脈硬化症の初期症状として現れることがあります。
閉塞性動脈硬化症の診察と治療
当院では足の動脈硬化の状態を確認する血圧脈波検査を行っています。仰向けに寝て上腕と足首にカフを巻き、血圧と脈波を測ります。
CAVIで動脈硬化の状態を確認し、ABIで血管の詰まり具合(狭窄・閉塞)の程度を判断します。血管に問題がない場合は横になって上腕と足首の血圧を測ると同じ程度か足首の方がやや高い数値になりますが、足の動脈に狭窄や閉塞があると上腕より足首の血圧の方が低く出るためリスクを判断できます。
また、間欠性跛行の症状を起こす腰部の脊柱管狭窄症や糖尿病性神経症との鑑別もABI検査で可能です。間欠性跛行を起こす病気はどれも適切な治療をできるだけ早く受ける必要がある病気でのため、症状に気付いたら早めに受診してください。
閉塞性動脈硬化症と診断された場合には、生活習慣の改善、血管を拡張する薬や血流を改善する薬などによる薬物療法、カテーテルによる治療、手術など、状態に合わせた治療が必要です。
閉塞性動脈硬化症に潜む脳卒中や心筋梗塞のリスク
閉塞性動脈硬化症で足の血管に動脈硬化が起こっているということは、脳や心臓などに血液を送っている血管でも動脈硬化が起こっている可能性が高い状態です。動脈硬化を進ませて、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などを起こさないよう、早めに受診して治療を受けましょう。
閉塞性動脈硬化症の5年相対生存率は約70%とされているほど深刻な病気です。これは閉塞性動脈硬化症に潜む脳卒中や心筋梗塞のリスクの高さを物語っています。足の痛みがこうした病気につながっていることがほとんど知られていないため、放置されるケースが多いのですが、動脈硬化を進行させないためにはできるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。
また、動脈硬化は脂質異常症・高血圧・糖尿病などの生活習慣病で進行することがほとんどです。閉塞性動脈硬化症がある場合、こうした病気を合併しているケースもとても多いのです。適切な治療を受けて、将来の脳卒中や心筋梗塞予防につなげましょう。
動脈硬化予防は習慣的に行う運動が重要
閉塞性動脈硬化症は足の動脈が狭窄や閉塞を起こす病気のため、その予防には足をよく動かして血液の循環を改善することが重要になってきます。足は重力に逆らって血液を心臓に戻さないといけないため、血液がたまりやすく、血行が悪化しやすくなっています。特に長時間同じ姿勢を続けていると血流は悪化します。デスクワークや立ち仕事をされている場合には1時間に5分程度歩くことをおすすめしています。また、筋肉が強化されると血流が改善します。週に3日程度、30分以上歩くなど、軽い運動を習慣にしてください。こうした運動習慣は、生活習慣病の予防や進行防止にも役立つため、動脈硬化進行防止にもつながります。
ただし、歩くと痛む間欠性跛行の症状がすでに出ている場合には、カテーテルによる治療や手術が必要なケースもあります。医師と相談して必要な治療を受けてから、運動を始めるようにしてください。